叶わない恋。
「ただいまぁ~
って、誰も家にいないか…。」
あたしは独り言を呟く。
もう何年になるだろうか…。
誰かに”おかえり”と言われていないのは…。
うちの両親は2人とも医者。
だから家にいることは滅多にない。
『夏希!おかえり!!』
リビングに入るとソファに寝ころぶ
「兄貴………?!」
兄貴を発見した。
「……なんでいるの??」
確か、兄貴は年上の彼女の家に半同棲してるって言ってたのに…。
『なんでってここ俺の家だろ?
そんな不思議そうな顔するなよ。』
兄貴は拗ねた真似をする。
「彼女の家にいたんじゃなかったの?」
まあ家にいるってことはきっと…
『まぁ…いろいろあるんだよ!』
彼女と別れたのか……。
「人生、山あり谷ありでしょ?」
あたしは笑いをこらえて言った。