叶わない恋。
『あっ…夏希。
次、僕の授業なんで一緒に行きますか??』
職員室を出ると大ちゃんがやって来た。
「そだね。行こっか」
『夏希は…好きな人いるんですか?』
うちのクラスは職員室から一番離れた場所にある。
「まぁ…いるよ。叶わないけど…」
と、あたしが言うと
「どうしたの?大ちゃん……」
大ちゃんが手に持っていた荷物を落とした。
『いや…なんでもないです。』
急いで荷物を拾う大ちゃん。
なんか焦ってる…??
『どうして…叶わないんですか?』
荷物を拾い終えてまた歩き出すあたしたち。
「う~ん…どうしてって聞かれると困るけど…
きっとその人はあたしのこと…そういう風に見てないから」
だってあたしは…生徒なんだもん。
アイツの………
『そうなんですかぁ~
僕も今好きな人いるんですよ?
どうも、夏希と一緒で僕も叶いそうにない恋なんですけど…』
大ちゃんは悲しそうに微笑む。
「どうして叶わないの??」
大ちゃんに聞かれたようにあたしも聞く。
『夏希と同じ理由です。』
あたしと同じ理由…??
「あたしたち、似てるね。
叶わないって分かってるのに…どうしてキライになれないんだろうね」
あたしが言い終わるともう教室の前。
『僕もその答え、知りたいです。』
大ちゃんはそう言葉を残し、教室に入った。
大ちゃんは誰に、恋…してるんだろ?