叶わない恋。
『なんかこっちまでドキドキしてきました。』
島先生は興奮気味だ。
俺も心臓バクバクだよ。
『大丈夫です。アイツなら…
アイツらなら、必ずやってくれますよ。』
俺は島先生へニコッと笑った。
ってか…待てよ、俺?!?!
島先生に笑顔を振りまくとかなんなんだ?!
島先生はたぶん…ってか絶対夏希が好きなんだよ。
部活で一緒にやっているうちに疑いが確信へと変わった。
と、また別のことを考えていると
「ツーアウトー!!」
あと1つのアウトで俺の夢が叶う。
『なつきーっ!!
リラックスだぁー!!』
ベンチから思い切り夏希へ叫ぶ。
夏希は俺のほうを見てニヤッと笑った。
なんだ…余裕なのか。
アイツにはプレッシャーとかいう言葉はないのか??
「ストラーイクっ!!」
と、審判。
あと2球。
夏希なら2球で終わらせる、絶対。
『島先生、まだ泣くのは早いですよ。』
隣で涙ぐむ島先生に声をかける。
『は、はいっ!!』
島先生は急いで涙を拭きグラウンドに目をやる。
「ストラーイクっ!!」
バッターはバットを振ったが宙を切る。
夏希の球は多分、今までで一番いい球なはず。
そんな夏希のボールを打たれちゃ困る。
「なつきー!!」
「せんぱーい!!」
守備をしているヤツらは夏希を励まそうと声をかける。
そして夏希は大きく腕を振りかぶり投げた。
『ゲームセット』