叶わない恋。
「大ちゃん??」
振り向くと、案の定大ちゃんの姿。
『まだ残っていたんですか?』
肩にかけていた鞄を下ろし、ベンチに座った大ちゃん。
「まあね…。
あたしたちにとっては最後の大会だから…
後悔したくないしね。」
私はそう言ってまた素振りをする。
『僕、この学校に来てよかったです。』
大ちゃんは俯き気味に呟いた。
「なんで??」
私は首を傾げる。
『夏希たちに…出会えたからですかね??
なんか毎日が充実してます。
楽しいんです、学校に来るのが。
授業やってるときも仕事って感じがしないし、
部活のときも自分で部活やってる気分になるし…
なんか僕、おかしいですかね??』
顔を上げた大ちゃんは恥ずかしそうに微笑む。
「そんなことないと思うよ?
毎日が楽しい、って良いことじゃんか。
全然おかしくないよ。」
あたしは素振りをやめて大ちゃんの隣に腰を降ろした。