叶わない恋。
「大ちゃんの好きな人はどんな人??」
置いてあったグローブを持ち本格的に壁当て。
少しだけど…肘が痛い。
『………大人です。
ものすごく大人で…
すごく強くて、格好いいです。
でも笑顔がすごく無邪気で…
そういうところも全部含めて好きなんですよね…』
遠くを見つめる大ちゃん。
大人で格好良くて強い。
これ…あたしの理想の人だよ
『なんか恥ずかしいですね。
叶わない恋…なんてなんであるんでしょうか?
僕は、ただ恋しただけなのに…
どうして叶わないって分かってると、
こんなにも苦しくて辛いんでしょう……』
はぁ~と大ちゃんは大きな溜め息をついた。
どんだけマイナス思考なの?大ちゃん…。
「確かにさ、苦しいし辛いけど…
でも、もしかしたら叶うかもしれないでしょ?
その可能性を信じて…
一生懸命笑って、
一生懸命泣いて、
一生懸命恋するんでしょ??
追いかける恋、っていうのも楽しくない??」
私は帰る準備をしながら大ちゃんに微笑んだ。
大ちゃんはそうですね、と悲しそうに笑った。
『じゃあそろそろ帰りますか。
駅まで一緒に行きましょう。
危ないですから』
そして私は大ちゃんと一緒に駅まで歩いて行った…