叶わない恋。





『なぁ、夏希。

お前、やっぱり頑張りすぎじゃね??


今日も完投したワケだし……』


1回戦を1人で投げきった夏希。


ピッチャーはとにかく体力が必要とされる。


そして1試合すべて投げるとなると…


相当、体力遣うよな…??


「何言ってるの??

毎日、暑い中ランニングして体力つけてるのよ??


1試合くらいでくたばりませんよー」


ニヤッと笑う夏希。


『でも肩休ませないと…。

今日はもうピッチング練習するなよ??』


肩、壊したら元も子もないからな。


夏希は

分かってるよ、と言って素振り。


「桐ちゃん、夏希は大丈夫だよ。


頑張りすぎるのが夏希なんだから。


まあ、あまりにも頑張ったら私が止めるし…


大丈夫だよ!!」


陽菜は俺に微笑んだ。


でもな…陽菜。


俺はなんとなく…なんとなくだけど…


夏希は何かを隠してる。


前までのように1人で抱え込んでることがある。


俺も…陽菜も分からないような…



すごく…すごく…


…大きな悩みを、アイツは抱えてる気がするんだ…。






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