叶わない恋。






『セーフ!セーフ!!』



主審が叫ぶとグラウンド中が沈黙。



だけどすぐに


『「わぁぁぁぁ!!!!!」』


と、言う大きな歓声に包まれた。



あたしはゆっくりと起き上がりベンチへ帰る。



「ナイススライディング!!」


次の打者の友美とハイタッチを交わす。



ベンチへ戻れば


「痛い、痛いって!!」

ヘルメットをバシバシと叩かれる。



『夏希、さすがだな。』


桐ちゃんは私に手を差し出した。



「そんなことないけどね。


まぐれよ、まぐれ。」


あたしはそう言いながら差し出された手をギュッと握り、硬い握手を交わす。


『夏希、僕とも握手してください。』

大ちゃんはそう言いながら近づいてきた。


相変わらずの爽やかスマイルを浮かべて。


あたしは大ちゃんに負けじと笑顔を浮かべるがやっぱり大ちゃんの笑顔には勝てない。





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