叶わない恋。
【カキーン】
この試合で初めて打たれたヒットは外野の頭上を通り越した。
あたしはぼーっとしたまま忙しく動き回る野手を見ていた。
「夏希、気にすることないよ。
得点が入ったワケじゃないし。」
結局2ベースヒット。
そして陽菜はあたしを心配してマウンドに上がってきた。
「なんか、ごめんね。」
あたしは申し訳ない気分になって謝った。
「何、謝ってるのよ??
まだ、これからだよ、これから。
夏希なら…大丈夫だよ。
頑張って!!!」
陽菜はあたしのグローブにボールを乗せるとマウンドを降りた。
あたしなら…大丈夫。
ごめんね…陽菜。
ごめんね…みんな。
みんなの期待を背負ってマウンドに登ったのに、あたしはもうダメだ。
期待…裏切っちゃって、ごめんね??
胸の中でみんなに謝る。