叶わない恋。
「あたし…投げる。
最後まで投げさせてください。
後悔、したくない。」
あたしは力強く言った。
後悔だけはしたくない。
この肘はあと3ヶ月しか保たない。
それだったら…今、思い切り投げたい。
それで打たれたなら
あたしは未練なんて残さずに、
ソフトボールを忘れられる。
だから…最後まで投げきりたい。
『それが夏希らしいよ。
お前なら、できる。』
あたしならできる。
うん、やるよ、やってみせるよ。
あたしは頷いた。
そして桐ちゃんは満足そうに微笑んでベンチに帰って行った。