叶わない恋。




誰にも言うことができなかった。


『もう、ソフトボールができない。』


なんて。



陽菜も友美も気づかなかった。



あたしの小さな変化に。


常に訴えかけていたあたしは



陽菜や友美に気づいてほしかったのかもしれない。



そんな中、あたしへ心配そうな視線を送る人がいた。



この人だけには弱いあたしを見せたくなかったのに…。



桐ちゃんだけには格好悪いあたしを見られたくなかった。



だってもし、桐ちゃんに


『どうした?

なんかあったのか??』


と、聞かれたらあたしは泣き崩れてしまう。



桐ちゃんの前で、



大好きな人の前で、



弱い自分を見せてしまう。




そんなこと絶対にイヤだったから


桐ちゃんの視線に気づかないフリをした。





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