叶わない恋。
『夏希!!
やる気で乗り切れ!!』
お前にはもう体力も何も残っていない。
ただ、やる気だけはお前はあるだろ?
ごめんな…夏希。
無理させてごめん。
でもなぜかお前に最後まで投げさせないといけない気がするんだ。
それは中学校で最後の大会だからかもしれない。
いや、違う理由があるんだ。
でもその理由が分からない。
ただなんとなく…、こんな理由じゃお前は怒るか??
『ボール』
夏希が肩で息をしているのが分かる。
でも、それでもお前の目は疲れてない。
まだ輝いている。
ソフトボールを楽しんでいる。
「みんなぁー!!
勝ち負けにこだわらないでいい!
とにかくソフトを楽しめっ!!」
夏希は振り返り野手たちのほうを向いて思い切り叫んだ。
みんなは俯いていた顔を上げた。
そうだ、楽しめばいいんだ。
そうみんなの顔が言っている。