叶わない恋。






「…………悔しさ。」


誰も何も言わないから
俺が次の言葉を発しようとすると小さな呟きが聞こえた。



「負けから学ぶことは


”悔しさ”



他にも


屈辱とか



虚しさとか



たくさんある。



ただもうそんな気持ちにはなりたくない、って誰もが思うはず。



だから負けないために一生懸命練習する。


1度敗北を味わった人にしか分からないこの気持ちは



その人の人生に大きく役立つことになる。」



独り言のような声の小ささだったけど、
でも誰の胸にも届くようなそんな言葉だった。



「みんなにはこんな悔しさを味わってほしくなかった。


勝利の喜びだけを感じてほしかった。



でも、あたしのせいで……。



ホントにごめん。」



そう言って頭を下げたのは





















………夏希だ。








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