叶わない恋。




俺と同じように涙を耐えているのか
夏希はギュッと堅く拳を握っていた。



泣きたかったら泣けばいいのに…。


どんなときも泣かない夏希は本当に強い。


どうしたらこんなにも強くなれる?


まだ15歳なのにどうしてこんなにも強い??


「なんで…なんで、謝るの??」


鼻声で呟いたのは陽菜だ。


「どうして謝るの?


最後まで頑張ったのは夏希じゃない。


居残りまでして練習して


この大会に一番力を入れてたのは夏希じゃない。


なのに、どうして謝るの??


誰も夏希を責めない。


責める理由がない。



むしろお礼を言いたいくらいだよ。


ここまでみんなを引っ張ってきてくれて、


ソフトの楽しさ教えてくれて


”ありがとう”


って。


夏希だけが責任感じなくていいんだよ…。」



陽菜は立ち上がると夏希の肩に手を置いた。


夏希は


「恥ずかしいこと言うんじゃないよっ」


と恥ずかしそうに笑いながら陽菜の髪の毛をクシャクシャにした。








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