叶わない恋。
「桐ちゃんさぁ、なんで教えてくれなかったの?」
今は部活の最中。
あたしが聞いているのはもちろん彼女のこと。
クラスのみんなに彼女の詳細聞いてこいって言われたからね。
『ん?なんのことだ??』
絶対分かっているのにとぼけたフリをするとは…。
「彼女のことに決まってるでしょ?
桐ちゃん??」
あたしはバットを持ち素振りを始める。
『彼女のことをなんで夏希に教えなきゃいけないの?』
桐ちゃん戦闘態勢に突入したもよう。
「そんな身構えなくても…。
とにかく、付き合い始めてどれくらい??」
あたしは慎重に言葉を選び桐ちゃんを怒らせないようにする。
まあ滅多に桐ちゃんが怒ることはないから大丈夫だけど…。
『秘密』
それだけ言って桐ちゃんはピッチャーのところに走って行った。
そしてあたしはバッターボックスに立つ。