叶わない恋。
『夏希、どうだ?
お母さん来れそうか??』
3者面談最終日。
「ごめん、桐ちゃん。」
そう言って手を合わせる夏希。
3者面談最終日の最後は夏希のところだった。
「なんか重傷の患者さん来ちゃって、
母さんも父さんも当分の間病院を出れないらしい。」
はぁ~と溜め息をついた夏希はイスに座った。
ちなみに夏希の両親は医者だ。
”救命救急センター”
そういう科で働いている。
この科をみんなは知っているだろうか…?
「まったく困ったもんだよ。
両親が2人ともそこで働いてるからうちは年中親がいない。
それにこういうときだって不便だし。」
夏希は机に突っ伏した。
”救命救急センター”
とは、いつどんな患者が来るか分からない。
だから時間に不規則になったり、
平気で家に帰らなかったりする。