叶わない恋。
「ちょ、ちょっと待って?
なんで桐ちゃんがピッチャーやるの?」
あたしが打席に立つとマウンド上には桐ちゃんの姿。
桐ちゃんの球の速さは半端ないんだから…。
『夏希が俺の球を後ろに転がせれたら、
夏希が知りたいことなんでも教えてやるよ。』
ニヤッと笑う桐ちゃん。
上等じゃないの。
「りょーかい」
あたしは低く返事をする。
そして思いっきり素振りをした。
絶対打ち返す!!
クラスのためにもね…。
と、言うあたしの闘争心(?)が芽生える。
『じゃあそろそろいこっか。』
あたしはバッターボックスに立って球が来るのを待ちかまえる。
第一球目
ファール
「桐ちゃん…本気でよろしく。」
あたしには分かる。
今のボールは明らかに手加減している。
そんな手なんか抜かれたら困る。
本気で勝負してもらわないとね。