叶わない恋。
『手加減しなくていいの??』
余裕そうに笑う桐ちゃんを見て俄然やる気が出た。
「手加減ご無用!!
本気でかかってこい!!」
あたしは桐ちゃんのほうにバットを突き出す。
『じゃあ今度は本気で行く!
陽菜、落とすなよ。』
と、言って帽子を触る桐ちゃん。
桐ちゃんが帽子を触るときは本気の印。
あたしはぎゅっとバットを握る。
第二球目
『ストラーイク』
桐ちゃんが投げた球は
あたしのバットに当たることなく陽菜のミットの中に収まった。
『夏希?あと1球だぞ??』
足で土を蹴りながら言う桐ちゃん。
「今度は絶対打つから!!」
あたしの額にはそこまで暑くないのに汗が浮かぶ。