叶わない恋。
『今度も手加減なしでいいの??』
と、いう桐ちゃんの気遣い。
いや、ただ単にあたしをバカにしているだけかもしれない。
「手加減なんて必要ない。」
あたしはそれだけ言うと深呼吸した。
そしてバッターボックスに立つ。
第三球目
『あ…………』
そんな桐ちゃんの声が聞こえた。
桐ちゃんが投げた球を今度はきっちり捕らえ、
外野まで綺麗な弧を描いて飛んで行った。
「勝負あり。」
あたしはそう呟いて桐ちゃんのほうを向いてニヤッと笑った。
マウンドの上でうなだれている桐ちゃん。
悪いね、桐島さん。
「桐ちゃん!!
今日部活終わったら教室ね!」
今、最高に良い気分。
今まで桐ちゃんの球を打てたことがないあたし。
だけどっ!!
今日は外野まで飛ばして、
しかも彼女のことを聞き出せる。
なんて最高なんだぁー!!