叶わない恋。
「もうやめなよ。
近所迷惑でしょ。」
と、呆れながらケンカを止めたのは陽菜だ。
あたしと桐ちゃんは睨んでいるが、一応口げんかのほうはやめた。
「ケンカする元気があるなら、練習すれば?」
陽菜はそう言ってあたしと桐ちゃんにグローブとボールを渡した。
だが、
「『むりむりむりむり』」
と、声を合わせてグローブとボールを地面に置いたあたしと桐ちゃん。
こういうときは息ピッタリなんだよね。
「じゃあ静かにしなよ。
早く帰ろ、夏希。」
なぜか不機嫌な陽菜はあたしに鞄を差し出す。
「あ、うん。」
少しドギマギしながら陽菜から鞄を受け取った。
なんで不機嫌なんだ…??
「じゃ、またね。桐ちゃん」
陽菜はヒラヒラと手を振って歩き出した。
「ねぇ、陽菜。
なんで不機嫌なの??」
「え?ただ眠いだけ。」
と、相変わらず不機嫌な様子の陽菜。
こ、怖いですよ…??