叶わない恋。
「桐ちゃん!!
今から練習やるよー!
ジャージに着替えてグラウンドに10分後、集合ね!」
友美の手紙を封筒にしまったと同時に外から声がした。
この声は陽菜だ。
『おう、分かった!
今から準備して行く!!』
俺は手紙の入った陸と友美の封筒を机の引き出しにしまった。
そして教室から出た。
たぶん、一番長い文章になるのは次の陽菜の手紙だ。
アイツには書かないといけないことがいっぱいあるからな。
ただ一番長い時間をかけることになるのは夏希の手紙なんだよ、きっと。
まだ何を書くか決めてない。
と、言うか何を書いていいか分からないんだ。
夏希には書いても書ききれないほど、たくさん伝えたいことがある。
ま、そんな時間のかかる2人の前に、
夏希のソフトの練習に付きあうかな。
俺は教室のドアの前で1度足を止めた。
明日でもう、みんな卒業なんだよな。
このクラスとも、
この教室とも、
お別れなんだ。