叶わない恋。
夏希はホームルームが終わるとすぐに教室を出て行った。
『陽菜。
多分、アイツ生徒会室行くと思うんだって。
だからさ、追いかけないでやって。』
夏希に声をかけようとしたところに陸が現れた。
「わ、分かった。」
私はそう返事をして夏希とは反対の方向へ歩き出した。
夏希が生徒会室へ行くなら、
私は部室へ行こう。
3年間、お世話になった部室へ行こう。
あそこなら、独りにもなれる。
誰にも邪魔されることなく、手紙が読める。
「友美、ちょっと教室で待っててくれない?」
クラスの友だちと何かを話していた友美に声をかける。
「りょうかーい!!」
と、元気に言った友美。
私は小走りで部室へ向かう。
早く、手紙が読みたかった。
何か不吉な予感がするんだ。
見てはいけない、
聞いてはいけない、
知ってはいけない、
そんなような気がしてならなかった。