叶わない恋。
期待するだけバカだったな。
と、後悔していた。
部活も終わり部員たちはぞろぞろと帰っていく。
そんな光景を眺めながら俺はベンチに腰を下ろした。
そして黙って夕日を見つめていた。
「桐ちゃん……??」
そんな声が聞こえて肩に温もりを感じた。
俺は夕日から視線を逸らし横を向く。
そこには
『…………夏希』
がいた。
「なんかあったの??」
優しい瞳で俺を見つめる夏希。
澄んだ瞳に吸い込まれそうになる。
『んー?なんかあったかな…』
曖昧に微笑んで俺はまた夕日を見つめる。
「なんか哀しいこと…あったんじゃないの?
話くらい…聞いてあげるけど??」
夏希には全て分かっているような雰囲気だった。