叶わない恋。





「なつき!!夏希?!?!」


着替え終わってグラウンドで素振りをしていると爆走してあたしのほうへ来る陽菜。



「危ない!止まれ!陽菜!!」


あまりの勢いであたしにぶつかりそうになった。



「な…夏希…あ…さん…けん…」


息が荒い陽菜は何を言っているのかまったく分からない。



「陽菜?深呼吸して??

言ってることがよく分かんないよ??」


あたしは陽菜を落ち着かせる。



「すぅーはぁー、すぅーはぁー」


陽菜は2回深呼吸した。



そして


「赤井みどりにケンカふっかけたってホント?!」

と、叫んだ。


あまりの声の大きさに思わず耳を塞ぐ。



「もうちょっと小さい声でも十分聞こえるからね?」


あたしは苦笑い。



「あ…ごめん!!

で、ホントなの??」


陽菜の目はあたしの目を捕らえる。



逸らそうとしても逸らせない。



きっと本当だって分かったら怒るんだろうな…。


あたしはそんなことを考えながら言った。



「んー?まあホントだよ??」


と。

別にケンカふっかけたつもりはないけどね。




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