叶わない恋。
ある日。
いつも通りに教室に入る。
そうするとザワザワしていた教室が一斉に静まりかえった。
おかしいな?と思いながらも自分の席につく。
「夏希!!あれ見てよ……」
そこに陽菜が現れた。
あたしは陽菜が指している方を見る。
「な、なにあれ…………」
陽菜の指した方には黒板がある。
そこにはあたしへの悪口が書いてあった。
”海道夏希とか口悪すぎだし”
とか
”かなりぽっちゃりしてるし”
とか
”まじブスだしね”
とか、いろんなことが書いてあった
そして
”海道夏希のお兄ちゃんは元暴走族の頭。
まじ引くしねー”
と、兄貴の悪口までもが書いてあった。
別にあたしのことはどれだけ書かれてもいい。
でも兄貴のことまでは書かれたくない。
うちの家庭環境も知らないくせに…。
もっと普通の家庭なら兄貴もあんな風にはならなかった…。
悲しいという感情も
怒りという感情も通り過ぎてあたしは無心になっていた。