叶わない恋。





そしてあたしは部活にも行かなくなった。


部員に迷惑がかからないように…。

部活に顔を出さなくなって1週間。



『なつーき!!』


教室で帰る準備をしていたあたしに声をかける桐ちゃん。



「何??」


あたしは窓の外を見つめる。



『なんで最近部活来ないの?

部長不在じゃみんな締まらないじゃん??』



「もう部活には行かないから…」


あたしは桐ちゃんに聞こえるようにはっきりと言った。



『はっ?!冗談だろ??』


案の定驚いている桐ちゃん。



「冗談じゃないから。」


あたしはそれだけ言って荷物を持ち教室を出た。



そして全力で廊下を走る。



後ろからは

『夏希!!』


と、桐ちゃんの声が聞こえた。


それでもあたしは足を止めることなく走り続けた。



あれ以上教室にいることができなかった。



桐ちゃんに泣きついてしまいそうだった。


そんなことしちゃいけないんだ。


自分でも分かってた。


あたしは赤井みどりと闘うって決めたから。


だからあたしは桐ちゃんからも陽菜からも逃げた。


背を向けた。


ごめんね……?


陽菜。


桐ちゃん。





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