叶わない恋。





「え?ここ…どこ…??」


思わず首を傾げるあたし。


今、あたしが立っているのは真っ暗なトンネルの中。



『夏希!なーつーきっ!!』


そうすると聞こえたあたしを呼ぶ声。



聞き覚えのある声。



『早く、早くこっち来いよ!!』



真っ暗なトンネルの中一点だけ明るいところがある。


そこから聞こえる声。



そして人影が見える。



その影はあたしのことを一生懸命呼んでいる。



誰?誰なの……??



でも、なんとなくその人のところに行かないといけない気がした。


だからあたしは明るいところへ全力で走った。



『夏希!なーつきっ!!』



あたしが近づくにつれて影の正体が見える。



でも顔は逆光で見えない。



でもどこかで絶対に見たことがある…。



『お帰り。夏希』


あたしの目の前にいる人はあたしに手を差し出した。





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