叶わない恋。





俺は保健室の前に立ち止まったまま動けなかった。


「あたしと…付き合わない?」


様子を見に来たとき保健室の中から聞こえた夏希の声。


入っちゃいけない気がして俺はドア越しに会話を聞いていた。



『え…?でも夏希は桐島のことが…』


陸の驚いたような声。


え…??


俺がどうしたって言うんだ??


「陸!!」


夏希の叫ぶような声。



そして


「お願い……。

桐ちゃんのこと…忘れさせて?
あたしには…陸が必要なの。」


と、夏希は言った。



どういうことなんだ…??



”桐ちゃんのこと…忘れさせて?”



俺のことを忘れるって…。



もしかして…夏希は俺のこと……??


「桐ちゃん!何やってるの?!」


そこに陽菜がやってきた。




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