叶わない恋。
『桐ちゃん、いい先生じゃん。』
あたしがリビングに戻ると兄貴が言う。
「そうかもね」
あやふやな返事をするあたし。
『夏希って桐ちゃんのこと好きでしょ?』
ニヤッと笑う兄貴。
「そそそんな訳ないじゃん。」
動揺を隠せないあたしは演技力ゼロ。
『今は桐ちゃんと陸の間で揺れてるって感じ?』
「………………………」
何も言えないあたし。
だって兄貴の言ってること、図星なんだもん。
『でも桐ちゃんが無理だからって
陸に頼るのはあんまりよくないと思うよ。』
兄貴はそれだけ言ってどこかへ出かけて行った。
それくらい…あたしだって分かってるよ。
陸に頼っちゃダメだってことくらい…
バカ兄貴……!!