素の君が好き

初デート

当日私は最後の最後まで
鏡を見て確かめた。
家のインターホンが鳴った。
家は住所を昨日教えた。
住所だけでよくわかったな。
と思いながらドアを開けた。
いつもと変わらない顔があった。
でもまだ笑った顔を見たことない。
そう考えていると、
「何ボーッとしてんの?早く行くぞ!」
「あっ!うん。」
ドキドキしながら自分の中での
デートが始まった。
10分ぐらい歩くと
海の匂いがしてきた。
次に音がして海が見えた。
どうして海に来たかは分からなかったが
また後で聞こうと思って海に走って行った。
しばらくすると龍也の足音が聞こえてきた。
後ろを見ると、何か寂しげな顔をしていた。
砂浜に座ると横に龍也
しばらく沈黙……
それをさえぎったのは龍也だった。
「何で海に来たか聞かないのか?」
「へっ?教えてくれるの?」
実は気になってた。
「あぁ。」
話しを聞いた。その内容はこうだった…。


昔、海で元カノと遊んでいて
龍也がトイレに行っていた間に
行方不明だったそうだ…。
声をはりあげ砂浜を走り回り探した、
海の中も端から端まで探した。
でも見つからない。
その日は探してもいないので
警察に言って帰った。
次の日警察から電話があった。
てっきり見つかったのかと思い
素早く電話に出た。
だがそう簡単にはいかない。
警察はこう言った。
「名前は片倉果夏さんで間違いありませんか?」
「はい。果夏は見つかりましたか?」
「それが…遺体で発見されました。」
「嘘だろ?嘘だと言え!」
「明日本人かどうか確認しに来て下さい。」
「くっ。分かり…ました…。」
次の日行ってみると変わり果てた果夏がいた。
手足は切断され首には絞めあと
すごく無惨な姿だった…。
その場で龍也は泣き崩れた。
泣いても泣いても涙は止まらず
龍也は自分を責め続けた。
自分のせいで果夏がやられた。
その時龍也は
犯人が見つかったら
絶対許さない、ただじゃ、おかない
そう決心して果夏の事は
思い出さないようにした。
でも、1日だけ思い出す日がある。
果夏が、遺体で発見された日、
その日はいつも海に行くように
しているそうだ。

「うっ―わぁーん」
私は悲しすぎて泣き叫んだ。
私の行動に龍也もびっくりしたのか
呆然としている。
それから少しして泣き止んだ。
せっかくのデートが
こんな形になったけど
次の言葉で来てよかったと思った。

「こんな俺だけど好きだ。付き合ってくれ。」
「えっ?」
「2回も言わせんなよ。最後たぞよーく聞いとけ」
うなずく。
「好きだ、付き合ってくれ。」
「ふぇっ…うん。私は悲しい過去を持つ龍也を支えていこうと
思ってるよ。」
「そんなかわいい事言うんじゃねぇよ、バーカ」
「あれ?龍也顔が赤い。」
「見んなって!」
こんな感じで
二人のスタートをきった。






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