美しいモノを撮りましょう
「すっかり暗くなっちゃったなぁ…」

ナツキは街のネオンを見ながら、深く息を吐いた。

「うぅ~。眼が痛いよぉ」

しょぼしょぼする眼を擦りながら、街中を歩く。

が、ふとビルとビルの間の細い道を見つけ、足を止めた。

「………」

ナツキの表情が、仮面のように無表情となる。

視線をそのままに、ナツキは奥へと足を進めた。

歩き進めること数分後、ビルの裏へと来た。

そこはあの死体の写真現場だった。

アレから時間が経っているので、ここはすでに解放されている。

「やれやれ…。やっぱり失敗は一度でもダメだよねぇ」

ナツキは肩を竦めると、ケータイを取り出した。

そしてカバンの一番奥のポケットから、SDカードを取り出し、ケータイ電話に入れる。

「まさか操作失敗しちゃうなんて…。夜中の更新はするもんじゃなかったな」

ナツキの操作で、ケータイの画面にはあの死体の写真が写し出された。
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