愛シ病
『お母さん〜大丈夫だって…少し体が痛いだけだから〜』

私はお母さんに向かって叫び続けていた。だって病院なんて行きたくないから。

『だめだめ!早めに行かなきゃ大きい病気だったらどうするのよ!!』

私の母はどうやら過保護らしい…。などと頭の中で考えつつ無駄に抵抗する。
考えただけで恐ろしい…。
マスクで顔を隠した医者。
注射・メス・点滴…。
幼い私は震え上がる程に怖かった。

そんな私を見て母は…。

『大丈夫…アンタが考えてる様なもんで検索しないから』
『ほんとに?』
『大丈夫だって!!』
無駄に明るい笑みと声色で語る母。何故だか逆に恐怖にかられた…もう…あの笑顔を見れないんじゃあないかって…。

私は泣きそうになりながらも母の言葉を信じて母と病気の中に入った。

……………
病院の中はやたら静かで薬品の嫌な臭いが充満していた。それは…あまりにも現実味を持っていて幼い私は更に恐怖を覚えた。

『野沢さん…野沢ハルカさん?』
病院の受付のお姉さんが私の名前を呼ぶ…。どうして…病院のお姉さんはみんな綺麗に見えるんだろう…。

『はい…』

私は手を上げてお母さんと受け付けに向かった。

『診察室にお向かい下さい』
淡々と業務的に受け付けのお姉さんがそう言った。
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