ダイヤモンドなお星様
「苗字は…?」
苗字…?
あたしは出来る限り頭をフル回転させた。
算数の問題とか、
理科の問題とかよりも
ずっと簡単な、自分の苗字を思い出すためだけに。
「わ…分かんない…」
この答えは言いたくなかった。
でも、本当に思い出せなかったんだ。
自分の苗字が…
「そ、そっかぁ…じゃ、あたしの名前は分かる???」
少し興奮気味に訪ねてくるこの女の子。
自分の名前と苗字が思い出せなかったんだもん。
分かるわけないよ…
「……」
「そ、そうだよね。もう少し寝ていよっか。」
あたしをベッドにゆっくりと押し倒しながら肩を落とし目に涙をためる女の子。
あたしは、目を閉じた。
今は、この現実を見たくなかったんだ。
そして、ゆっくりと眠りについた。
ほっぺたに何かが落ちた。
これは…、しずく…かな。
そのしずくは、あたしのほっぺたを伝って口に入ってきた。
しょっぱい…
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