沈丁花
しかし、その足がピタリと止まる。
たまには姉の処にでも行ってやるか。
土方は方向を変え、姉ののぶの住む彦五郎宅へ向かう。のぶは日野宿名主、佐藤彦五郎に嫁いでおり、土方もたびたびお邪魔しているのだ。
しばらくして、大きな屋敷の門の前に辿り着いた。そして、扉をドンドンと叩く。
「土方だ。」
低い声色で自分の名を告げ、しばらく待つ。
少しして、扉が開いた。
「お変わりないのですね。歳。まただらし無い格好して。」
黒い無地の着流しに、深い藍色の羽織を着込んでいる。髪は頭の上に緩く束ね、よくある下駄を履いている。周りとさほど変わりのない、目立たない格好だが、どこか近寄り難い空気を流している。
それが、土方だ。
だらし無い格好ではないと自覚はしているのだか…
のぶの変わりの無いことに安堵し、屋敷に上がる。
たまには姉の処にでも行ってやるか。
土方は方向を変え、姉ののぶの住む彦五郎宅へ向かう。のぶは日野宿名主、佐藤彦五郎に嫁いでおり、土方もたびたびお邪魔しているのだ。
しばらくして、大きな屋敷の門の前に辿り着いた。そして、扉をドンドンと叩く。
「土方だ。」
低い声色で自分の名を告げ、しばらく待つ。
少しして、扉が開いた。
「お変わりないのですね。歳。まただらし無い格好して。」
黒い無地の着流しに、深い藍色の羽織を着込んでいる。髪は頭の上に緩く束ね、よくある下駄を履いている。周りとさほど変わりのない、目立たない格好だが、どこか近寄り難い空気を流している。
それが、土方だ。
だらし無い格好ではないと自覚はしているのだか…
のぶの変わりの無いことに安堵し、屋敷に上がる。