ButterFly
chapter 4
彼の車の中も ムスクの香りがする。
ゆっくりと流れる 彼好みの音楽がわたしの心を落ち着かせる。
そして、何より 隣にいる彼は 美しい。
「...で、なんで泣いてた?」
まっすぐ前を見ながら運転している 彼を横目で盗み見していた私は
突然発せられた言葉に ぎくりとした。
「...」
「...」
二人の間に沈黙が流れる。
信号が赤に変わり がゆっくりと 停止する。
「まぁ、言いたくないならいいんだ」
彼は ゆっくりとこちらを振り返ると
わたしの頭をぽんぽんと叩いた。
...もっと触れて欲しい。
.....もっと...