ButterFly
タイミングを見計らったかのように 信号が青に変わる。
彼は視線を元に戻す。
どくん どくん
心臓が暴れている。
彼に触れられたい... 彼に触れたい...
「何か食べたいものあるか?」
思考を元に戻し 必死に考える。
だが、お腹は少しも空いていない。
「..いえ、
か、加賀沢部長のおすすめがあれば..」
すると彼は少し悩んだあと
「お酒はイケル口?」とニッと笑った。
「嗜む程度なら..?」
「じゃあ、決定だ。」
彼は少し 微笑んだ後 車を走らせた。
外の風は 秋なのにもかかわらず 生ぬるく 少し切なげに わたしの頬に触れた。