ButterFly










ワインはほとんど 飲んだことがない。


少し ためらいながら 一口飲んでみた。




「・・・美味しい・・・」




すると 部長は あの無邪気な笑顔で「だろ?」と手元にあったグラスを口元へ持っていった。





「このワイン...なんていうんですか?」





するとマスターは笑顔で「ポートワインです」と言った。



「本当は 食後のデザートやナイトキャップとして 好まれる ワインなのですが・・・」



と付け加えた。




「ナイトキャップ・・・?」



「俗にいう 寝酒ってとこだ。」



黙って聞いてた 部長のグラスは 既に空になっている。





「・・・ポートワインには 意味が隠されているんです、花言葉のように」




マスターの優しい声が響く。





「意味・・・ですか?」



すると優しげに笑ったマスターは「時期にわかるはずです。探してみてください」と言った。




「うし、行くぞ」



「えっ・・・あ、はいっ」




いきなり立ち上がった部長。



まだ、少し残っている ワインを一気に飲み干し 立ち上がると 目眩がした。




「じゃーね、水野ちゃん」



手をひらひらと させている 理央さんと 笑顔のマスターにお辞儀をすると


先に歩いていった 部長の背中を追い ドアをあけた。




さっきまで 生ぬるかった風は 少しひんやりして 火照った 体を 包み込んだ。








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