ButterFly
「・・・っ・・・」
すると 彼は わたしの顏の目の前で 止まった。
「・・・嘘だよ。部下には手を出さない。送っていく」
どくん・・・どくん・・・どくん・・・
心臓が苦しい。
車を走らせた部長は さっきまでとは違う 厳しい顏をしている。
優等生の皮が剥がれた わたしには 繕った言葉なんてでてくるわけもなく
ただひたすらに 彼を見つめることしかできなかった。
「あ、ありがとうございました」
家の前についた 車を降り お礼を言うと
部長は 無邪気な笑顔で「また明日」と言い 車を発進させた。
わたしは、部長が見えなくなるまで
ただ ただ 見つめることしかできなかった・・・。