ButterFly
思わず 席を外し 廊下に出た。
オフィスとは違う空気が 頭痛を緩和してくれてる
・・・気がする。
「水野?」
・・・今、一番 会いたくない人・・・
「はい」
何も悟られないように 無表情で返事をすると
彼は少し不思議そうな顏をした。
「顏色悪いぞ?体調でも悪いのか?」
「いえ・・・わたしは、大丈夫です」
「そうか、よかった」
あぁ、まただ 無邪気なその笑顔を向けられると 期待しちゃうの。
・・・わたし、あなたの糸から 抜け出せないの・・・。
「部長・・・?」
「ん?」
「今日、あのお店に来てください」
わたしは それだけを言い残すと ムスクの香りが強い廊下を後にした。