ButterFly
「・・・好き?」
彼の言葉がこだまする。
「そ、そんなこと・・・」
「でも、海斗だって・・・ねぇ」
カツン カツン カツン
「何が "海斗"だって? 」
どきんっ・・・
「わりーな、遅くなって。会議が伸びちゃってな」
「い、いえ・・・」
すると 理央さん は フッと彼独特の笑みで
「邪魔者は退散します。じゃーね、まーいちゃん
あ・・・そうだ。 何かあったら連絡しておいで」
彼は慣れた手つきで 名刺をだすと すっとわたしの前に出した。
「あ、理央さん あの・・・」
すると軽い足取りで出口に向かっていた 理央さんはこちらを振り向き
「理央ね?」笑顔で手をひらひらさせた。
じーっと見られている視線に気づき 思わず目線を逸らしてしまう。
「・・・で、どうした?今日は」
わたしは なぜ 部長をここに呼んだのだろう。
自分でもわからない。
確かあの時 柏崎さんたちの会話を聞いて 頭がフラフラして・・・
「・・・部長と・・・ゆっくり飲んでみたくて・・・」
すると部長は 一瞬目を開き すぐに笑顔になる。
「なんだ、深刻そうな雰囲気だったから 少し焦ってたんだ」
と言うと「俺、いつものロックねー」とマスターにつげた。