ButterFly
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「・・・ふぅ、終わった」
あの山積みだった書類を一人でやっていたら どれだけの時間がかかったのだろうか・・・
考えるだけ無駄だと思い頭を振る。
「・・・すみません、ありがとうございました」
眼鏡を取り 頭を下げると 斎藤さんはいつもの笑顔で「平気だよ」と言った。
「今日は・・・金曜日だね」
何気なく 呟いた斎藤さんの言葉で 先週の出来事が頭をよぎる。
『今日は金曜日だ』
彼は そう言ったあと 口元を上げて笑っていた。
・・・今日もあのお店にいるのかな、・・・違う女を連れて・・・
「・・・野ちゃん?」
「え?」
現実に引き戻された私は 話を聞いていなかったので状況が理解できない。
「だから、これから 軽くご飯でもどう?って言ったんだけど・・・」
・・・・・・。
「・・すみません、今日はちょっと・・・」
・・・短い沈黙が落ちる。
「そっか、じゃあ また別の機会にね」
斉藤さんはそう言うと いつもの笑顔でわたしを見た。