ButterFly















「ごめんね、お待たせ」






悪びれる様子もなく謝る彼は 今日はいつもとは違う雰囲気を放っている。






「いえ、そこまで待ってませんから」






いつもとは違うスーツを着こなす 彼はやはり色っぽい。






「ふーん・・・





15分ってとこ?」






思わず目線を下げてしまう。





そして、そんなわたしをみて 彼はフッと笑った。








彼の大きくて茶色い その瞳にとらえられると 何もかも見透かされているようで怖い。






わたしのポーカーフェイスが通じない唯一の相手。






・・・要注意人物ってこと。






「まいちゃん、どこいこっか」





彼特有の笑顔で 見られ 思わず目を逸らしてしまう。






「理央さ・・・ん にお任せします。」






「んー・・・ じゃ まず腹ごしらえでもしよっか」







そして すっと出された左手に 一瞬思考がとまる。







「えっと・・・?」






ニコニコしていた彼は一瞬 じっと真顔でわたしを見た。










「右手、貸して?」









見上げると さっきとは違う柔らかい笑みを浮かべてた彼は








「行くよ」






迷わずに わたしの右手をとった。







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