あなたの声を思い出すまで

目を覚ました時には、私は高いビルとビルの隙間で、小さな息をしていた。薄暗い中で、真っ黒の服を着ていた。

…寒い。
そう思って肩に力をいれると、全身を鈍い痛みが襲った。ゴミを漁りに来たのか、汚れた猫がこちらの様子を伺っていた。

私はどうしてこんなところにいるのだろう?
地べたに座りこみ、静かに記憶をたどる。

――ズキッ
今度は鋭い痛みが襲った。
「なんなの…?」
大きく息を吸い、目を閉じた。頭痛はまだ治まってはいなかった。
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