緑の食事風景
葬儀の為に何日か会社を休み

明日からまた仕事が始まるという晩、部屋の窓を開けて外を眺めながら、1人で酒を飲んだ。


目の前には花が終わった桜の木々の、瑞々しい新緑が広がっている。


夜の闇の中で、そこだけ妙に空気が澄んでいるようであった。



母が亡くなって初めて、ゆっくりと母の事を考えた。


死人を悪く言うのも何だが、つくづくろくな母親ではなかったと思う。


家庭を犠牲にしてまで宗教にのめり込んだ、愚かで情けない、私の母。


亡くなって悲しいというより、寧ろ肩の荷が下りたとでも言いたい気分であった。
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