すべてを愛して
「俺、隣のクラスの山本優斗。覚えてね?」
「あ…志田百恵です」
「知ってる。あと、敬語いらねって」
「は、はい」
「また使った」
私、何やってんだろっ…
「そんじゃね」
そう言って、立ち去ろうと踵を返す山本くん
「や、山本くん!」
「ん?」
「ありがとう!」
私の言葉に、あの笑顔を向け
「もう無くすなよ」
手を上げ、出ていった。
山本優斗、優しい声、無邪気な笑顔
これが私たちの出逢いだった