すべてを愛して




「今度は何の教科書?」



今日は、驚かない。


来ると思ってたから…



「美術の教科書」


「ふーん」





二人で探しているこの空間


私は嫌いじゃない。


落ち着く声に温かい笑顔
すごくほんわりしてる空間。



「山本くん」


「んー?」



目を動かしながらも、私の声に耳を傾けてくれる。



「何で、声かけてくれるの?」



私はクラスの人からも先生からも相手にされない人間。


それなのに、どうして違うクラスの山本くんが声をかけてくれるのかが不思議だった。



「困ってる奴がいるから。はい、見つけた」



質問に答え、探し出してくれた教科書を私に手渡す。





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