すべてを愛して
「落ち着いた?」
「うん。山本くん、ありがと」
「話くらいは聞いてあげられるから、いつでも頼って?」
その優しい言葉に、また涙腺が緩む。
「本当にありがとう」
「いやいや。それじゃ、俺は行くね?」
「うん。またね」
立ち上がり、扉に手をかける山本くんの後ろ姿を私は見ていた。
「あ、そういえば」
と振り返り、
「敬語、取れたじゃん」
じゃあな、と言って出ていった。
私が好きな、あの笑顔を残して。