すべてを愛して
でも、私にとって山本くんが特別な存在なのは間違いない。
私と話そうともしなかった人たちとは違って、こんな私でも分け隔てなく接してくれる。
山本くんにしてみれば私なんて、ただの隣のクラスの人だろう。
「志田ー」
「あ、山本くん」
最近、廊下で山本くんを見かける機会が増えた。
「次、移動?」
「うん。音楽だよ」
「教科書、あんだろーな?」
「ひど、ちゃんとありますー」
「ははっ」
あの日の事を山本くんとは笑って話せる自分がいた。
涙を見せた事で、山本くんに心を開いていた。
特別で、心を開ける存在。
山本くんの声や笑顔、何よりその存在が私に安心感を与える。
それって、『好き』って事なの…?