寂しがりな猫背
「忍、ちょっと来てー」
「え?」
昼休み、教室で香苗とまったりランチタイム。
今日はデザートにプリン持ってきたんだ、と香苗に話していたときだった。
「ちょっと行ってくるね」
「いってらー」
委員長の矢吹に呼ばれ、ドアの方へ向かう。
「どうしたの」
「いや、用があるのは俺じゃないんだよね。この先輩に“今井忍いる?”って聞かれてさー」
「………」
矢吹が目線を向けた相手は、
「……あ、猫」
「………猫?」
「あ、いえ…」
“────猫?“
たった2文字なのに、その透き通った低めの声に、妙に耳がくすぐったくなり思わず下を向いた。
「えと、今井です。なんでしょうか?」
「ああ、うん。はい」