絶対裏校則
しばらくの沈黙が続き、翼の家の前まで来た。

「じゃあな」

俺が言うと寂しそうに「あぁ…」と言った。

「翼!あんま一人で抱え込むなよ?我慢できなくなったらすぐ俺に言え。いいな?」

「うん…ありがと」

そう言って家へと入って行った。



何故だろう…?
今日の翼は女の子らしい。
本人が話すまで検索るつもりはないが、気になって帰るに帰れない。

でもこんなとこにいても仕方がない、と帰る事にした。

と、その時玄関の開く音がした。


「慶!!」

声と共に振り向くと翼がこっちに走って来ていた。

「翼!?」

「慶……っ!!」

「おわっ!どした!?」

翼は俺に抱きつき、離れようとしない。

「あたし…あたし…」

この時、「俺」じゃなく「あたし」と言う翼に驚く事もなく、ただ、ギュッと抱き締めていた。

「翼…」

そう呟き、「大丈夫か?」と言う俺に対し翼は「うん」と泣きながら答えた。

「俺んち来るか?」

こくりと頷く翼の手を引き、自分ちに向かった。




―――――――――――
家に着き、翼を落ち着かせた。

「ごめん…慶…」

翼は申し訳なさそうに言った。

「謝んなって。それより何があった?話せる範囲でいいから話してみ?」

「うん…。俺…もうどうしていいか分かんねぇ…学校行けば慶も居るし寂しくねぇ…けど家に帰るとさ…シーンとしてて…ただいまって言っても何も返ってこねぇし…今までなら親なんて居なくなればいいって…思ってたけど…いざ居なくなると…どうしていいか分かんなくて…」

「両親…居なくなったのか…?」

「うん…」

どうやら翼の両親は二日前に突然姿を消したらしい。
「さようなら」と言う一枚の手紙を残して…

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