絶対裏校則
あの後、俺と涼子は教室へ向かっていた。

特別室から教室へ行くには少し距離がある。
校舎が別々になっていて、一々校舎から出なければならない。

まあ、距離があると言ってもそう遠くはない。
校舎を出ればすぐ向かいの校舎の二階が俺達の教室。


しかし、それまで俺はこいつ、涼子と一緒にいなければならない。

涼子はずっと俺の腕にくっついたままだし…


翼…あいつのあの寂しそうな顔…



あの顔が頭から離れない。


唯一、あいつの傍にいてやれるのは家に居る時だけ。


それさえも失ってしまうような事があれば、俺はきっと…いや、翼はいったいどうなってしまうのだろう…?


あいつを守ってやれるのは俺だけだ!


あいつだけは俺が守る!!


俺がそんな事を考えながらボーっとしていると涼子の声で我に返った。

「もう!!慶ちゃんてば!!さっきから何回無視したら気が済むの!?」

涼子は再びムスっとした。

「あ、ぁあ…わりぃ。考え事してた」

やっべぇ…こいつが居るの完璧忘れてた…。


「ひっどーい!!あたしがいるのに他の人の考えるなんて!!どうせ大森翼の事でしょ!?」

ドキッ

俺は一瞬胸が高鳴った。
それをバレぬよう、

「ちげぇよ。お前の事考えてたんだよ」

とキザ?な事を言ってみたり。笑

それに喜ぶ涼子。

「マヂ!?あたしの何を考えてたの!?」

キャッキャッとはしゃぎながら俺を見る。

「え?」

「え?じゃなくて!!あたしの何を考えてたの!?」

目を輝かせながら言う涼子に対し、そこまで考えてなかった俺は戸惑いながらも、慌てて頭の中でセリフを掘り出しながらいい言葉を探す。

そして、コレだ!と決めた一言。

「お前ちっちぇーな」



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